月刊セレクト・オレスペシャル2025年12月号

月刊セレクト・オレスペシャル2025年12月号

2025年11月29日

月刊セレクト・オレスペシャルは、オモシロ記事工場のワタナベミツテルがお送りする厳選音楽プレイリストです。

今月も、過去に巷で話題になった曲から、季節にぴったりの名曲までを集めてSpotifyのプレイリストとその楽曲のYoutube動画と解説をご用意しました。

1.ぼくのりりっくのぼうよみ – Sunrise(re-build)

【アーティスト紹介】
かつて言葉を自在に操る早熟の天才としてシーンに現れ、疾風のように駆け抜けた「ぼくのりりっくのぼうよみ」。冷徹なほどの知性と、若さゆえの焦燥が混じり合うそのスタイルは、多くのリスナーに鮮烈な印象を残しました。彼の遺した音楽は今なお色褪せず、鋭い言葉の棘（とげ）で聴く人の心を突き刺します。

【楽曲解説】
この曲は、あまりに鮮烈な夜明けの讃歌です。再構築（re-build）されたトラックの有機的なグルーヴは、崩れかけた日常を歩き出すための心臓の鼓動のように響きます。歌詞は聴く人の「諦念（ていねん）」を鋭く刺しながらも、その傷口から希望を流し込むような力を持ち、冷え切った冬の朝の空気を震わせる一曲です。

2.HARUHI – ひずみ

【アーティスト紹介】
HARUHIは、スモーキーでありながらガラスのように透き通った、唯一無二の歌声を持つシンガーソングライターです。その声には、世界の深淵（しんえん）を覗き込んだような深みと、触れれば壊れてしまいそうな繊細（せんさい）さが同居しており、心の奥底に沈殿した感情を優しく掬（すく）い上げる力があります。

【楽曲解説】
映画『世界から猫が消えたなら』の主題歌として知られる本作。世界から何かが消えてしまう瞬間の、あの張り詰めた寂寥感を具現化したような楽曲です。「歪み」さえも愛おしいと肯定するその旋律は、喪失感に苛まれる夜に聴くと、唯一無二の救済として五臓六腑（ごぞうろっぷ）に染み渡ります。

3.kiki vivi lily – カフェイン中毒

【アーティスト紹介】
kiki vivi lilyは、スウィートで媚薬（びやく）的なウィスパーボイスと、Lo-Fiでメロウなサウンドが特徴のシンガーソングライター。日常のふとした瞬間を切り取るリリックセンスと、Hip-HopやR&Bをルーツに持つグルーヴ感は、聴く者を心地よい微睡（まどろ）みへと誘います。

【楽曲解説】
タイトル通り、脳髄（のうずい）をゆっくりと溶かすような中毒性を持ったナンバー。気怠い休日の朝、シーツにくるまったまま微睡むような至福と背徳感を描いています。浮遊感のあるビートはまさに「聴くカフェイン」。忙しない現実から逃避させてくれると同時に、満たされない恋の渇きをポップに彩ってくれる一曲です。

4.七尾旅人 – サーカスナイト

【アーティスト紹介】
1998年のデビュー以来、ジャンルを超越した音楽性で異彩を放ち続けるシンガーソングライター、七尾旅人。その震えるようなファルセットと、即興演奏も交えた自由なライブパフォーマンスは、まるで魔法のように聴衆を魅了し、幻想的な世界へと連れ去ります。

【楽曲解説】
都会の夜の隙間に滑り込む、あまりにロマンティックで儚い名曲です。爪（つま）弾かれる鍵盤の音色はサーカスの灯りのように幻想的。「今夜だけは夢を見させてくれ」と懇願するような切実な響きが、孤独な魂を抱きしめます。夜明けが来るその瞬間まで、心地よい陶酔（とうすい）感を与え続けてくれるでしょう。

5.adieu – ナラタージュ

【アーティスト紹介】
adieuは、女優・上白石萌歌によるクリエイティブプロジェクト。その無垢で凛とした歌声は、物語の語り部のように言葉一つ一つを丁寧に紡ぎます。この曲では野田洋次郎（RADWIMPS）が作詞作曲を手掛け、彼女の持つ透明感と楽曲の持つ激情が見事な化学反応を起こしています。

【楽曲解説】
それはまるで、止まっていた時計の針を無理やり動かされるような、痛みを伴う美しさを持ったバラード。雨の匂いが立ち込めるような静謐なサウンドスケープ（視覚的な風景）の中で、抑えきれない情熱が溢（あふ）れ出します。過去の恋の記憶をあまりに鮮明に、そして残酷なほど美しくフラッシュバックさせる一曲です。

6.Aimer – カタオモイ

【アーティスト紹介】
Aimerは、ハスキーかつ甘美な歌声で多くの人を魅了するアーティスト。その声は「奇跡の歌声」とも称され、深みのある低音から伸びやかな高音まで、変幻自在に感情を表現します。本作は内澤崇仁（androp）による楽曲提供で、彼女のポップな側面が引き出されています。

【楽曲解説】
冬の木漏れ日のように温かく降り注ぐ、純度100%のラブソング。恋をする高揚感と、いつか終わるかもしれない不安の狭間を軽やかに駆け抜けます。ただ「好き」という感情を結晶化させたようなギターサウンドは、凝り固まった大人の心すらも瞬時に解きほぐし、忘れかけていた少女性を取り戻させる力があります。

7.Aimer – 命にふさわしい

【アーティスト紹介】
前曲とは一転、Aimerの持つ「影」の部分をamazarashiが極限まで引き出したコラボレーション楽曲。光と影、生と死といった重厚なテーマを歌い上げる彼女の表現力は圧巻で、聴く者の魂を揺さぶります。

【楽曲解説】
凍てつくような冷たさと、そこから這（は）い上がろうとするマグマのような熱量が衝突する、魂の絶唱です。生きることの苦痛と、それでもなお光を求める浅ましいほどの生への執着が描かれています。その叫びは、安っぽい慰めを拒絶し、傷だらけの心にこそ寄り添う、重厚な祈りのように響きます。

8.Creepy Nuts – かつて天才だった俺たちへ

【アーティスト紹介】
日本一のラッパー・R-指定と、世界一のDJ・DJ松永によるヒップホップユニット、Creepy Nuts。卓越したスキルと、ユーモアとシリアスが同居したリリックで、ヒップホップの枠を超えてお茶の間まで席巻する二人組です。

【楽曲解説】
大人になり、何かを諦めてしまった全ての「元・天才」たちへ叩きつける、最強のエンパワメント・アンセム（応援賛歌）。R-指定の変幻自在なラップと、DJ松永のグルーヴィーなトラックが、燻（くすぶ）っていた自尊心に再び火を点けます。「まだいける」と鼓舞するその熱量は、停滞した現状を打破するための起爆剤となるでしょう。

9.Ken Yokoyama – I Love

【アーティスト紹介】 Hi-STANDARDのギタリストとしても知られるパンク界のレジェンド、Ken Yokoyama。彼の奏でるギターと歌声は、常にストレートで熱く、飾り気のない人間味に溢れています。時代が変わっても変わらないパンクロックの精神を体現し続ける存在です。

【楽曲解説】 レジェンドが歌うからこそ響く、飾り気のない直球のラブソングです。荒削りなギターサウンドに乗せて放たれる「I Love」というシンプルな言葉は、小手先のテクニックなど無意味だと悟らせる説得力を持ちます。不器用で、無骨で、しかし誰よりも深い愛情。その男気溢れる優しさが、涙腺を刺激します。

10.ササノマリイ – COFFEE

【アーティスト紹介】
ササノマリイは、エレクトロニカやヒップホップ、ロックなどを融合させた独創的なサウンドで知られるサウンドクリエイター。複雑に構築されたビートと、淡々とした中に温かみを感じさせる歌声が、中毒性の高い音世界を作り出しています。

【楽曲解説】
日常のループと思考の迷宮を電子音で再構築したような一曲。カットアップされたリズムと歌声は、湯気が立つコーヒーのように静かに心に沁み込みます。言葉にできないモヤモヤとした感情を、幾何学的で美しいサウンドへと昇華させ、このプレイリストの余韻を心地よい静寂で包み込んでくれます。

すべての楽曲をまとめたプレイリストは、Spotify（Web・アプリ）にてお楽しみいただけます。CMの入るフリープラン（無料）とCMなしのプレミアム（有料）があります。

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