あーん。もう2月だ!
前に記事を書いてから、いつの間にか、しゅぱっと一ヶ月も経っている。
さて、2月と言えば。
ご卒園とか、ご卒業、あるいは、新しい門出に向けて、ご退社の準備をなさる方も、多いと思う。
みんな、それぞれの現場を、無事に引き継いで、次へ向かう、そんな季節なのだ。
今回は、そんな季節にふさわしく、幼き頃のワタナベミツテルくんが、スーパーのお菓子コーナーで見つけた逸材を、懐かしくも、じーっと振り返る、そんなお話。
一九八六年。
保育園をさくっと卒園して、ランドセルが背中で、がた、ごとと落ち着かない、ピカピカの一年生だった僕。
けれど、小学校になっても、保育園時代の得意科目だった「砂場遊び」から、どうしても抜け出せなくて、だから僕の魂は、依然として、放課後の砂場に、置き忘れたままだったのである。
小学校の砂場。
そこは僕にとって、世界で一番大切な、建設現場だった。
さく、さくり、ざざーっ!
と小さなスコップを振るい、毎日、立派なダムとか、トンネルを作る。
爪の間には、お砂の思い出が、ぎゅっと詰まっていて、そして、お母さんに「あらら」なんて、笑われたりして。
そんな砂場職人の僕が、スーパーで、運命の出会いをしてしまった。
それが、軟式土木作業系コネクリお菓子である。
「おやおや、これは大変なことになっちゃったぞ。」
僕は、お菓子コーナーの前で、ひとり「うひひ」と、鼻歌まじりに呟(つぶや)いてしまった。
「これは、おうちでできる、砂場遊びじゃないか!」
ターゲットは、あの「ねるねるねるね」。
トレイを、ぱきんっ、ぱこっ! と切り離す音は、工事開始の合図みたいで、胸がわくわくしちゃう。
粉を、さらさら入れて、そして、お水をちょこんと足して、そこで、棒でまぜ、まぜ、まぜまぜ……。
砂場の泥団子作りで鍛えた、僕の攪拌(かくはん)テクニックが、ここでキラリと光るのだ。
「あ、ふくらんできた! もこもこしてきたよ!」
色が、ぱぁぁんと変わって、そして粘り気が、ぷるぷる、もこもこっと増していく。
その様子は、なんだか不思議な生き物が、こんにちは、って挨拶しているみたい。
ぱくり。
食べてみると、甘い味が、じゅわじゅわーっと、お口の中に広がって、なんだか虹を食べちゃったみたいに、幸せな気分。
でも、あんまり夢中になりすぎて、お口の中が、からからの砂漠になっちゃった。
そこで、僕は秘密の魔法をかけたのである。
追いファンタオレンジだ!
ぷしゅっ! しゅわわわわわーっ!
注げば、オレンジ色の泡が、ぴょん、ぴょんっと踊りだす。
お菓子の紫と、そしてファンタのオレンジ。
お口の中で色が、がっちゃんこと混ざり合って、だからなんだか、楽しいパーティーが始まったみたい。
んふふ。
最後の一滴をごくんっと飲み干して、そこで僕は、空っぽになったトレイを、じーっと見つめた。
お口のまわりに、ぺたっとついた、甘いしるし。
明日は、砂場で、どんなお山を作ろうかな。
そして、オレンジ色の小さなゲップを、ぷふっと一つ吐き出して、僕は夕暮れのお部屋で、にこにこしながら、明日の作戦を考えるのであった。
本日のおすすめの曲
ACIDMANの「赤橙(せきとう)」は、情熱や欲望、そして命の儚(はかな)さと熱い感情を、赤い煉瓦(れんが)や炎になぞられて表現された曲です。

