『祖父母(そふぼ)デジタル順応サプライズ。』昭和の祖母はファミコンのスポンサー。令和の孫からみた祖父母たちは、デジタルの“先輩”だった件。

「敬老会の案内?ああ、LINEグループで回覧済みよ。」
「おじいちゃん、Switch2のマリオカート強すぎ!ちょっとは手加減してよ!」

僕たちの頭の中にある「おじいちゃん・おばあちゃん像」は、そろそろ大幅なアップデートが必要なようだ。

かつて、昭和の時代。僕たちにとっておばあちゃんは、ファミリーコンピューターのソフトを買ってくれる、ありがたい「スポンサー」だった。

しかし、時は令和。今や彼らは、僕たちと同じフィールドで、時には僕たち以上のスキルでデジタル機器を使いこなし、共に楽しむ最高の「プレイヤー」であり、人生の先輩であると同時に「デジタルの先輩」だったりする

今日は、僕が25年前に体験したある出来事を起点に、この劇的で面白い変化について言語化してみたい。

1999年、IT革命の夜明けに見た「熱狂」

話は僕が名城大学の学生だった1999年に遡(さかのぼ)る
世はまさにIT革命の夜明け大学では「情報リテラシー」なんていう科目がもてはやされ、僕も例に漏れずA評価を連発し、調子に乗って地元のパソコン教室でインストラクターのアルバイトを始めた。

そこでの僕の役割は、パソコンに初めて触れる生徒さんたちに、使い方を教えること。

生徒さんの中心は40代の方々で、その熱量はすさまじかった。来る日も来る日も、「新しいスキルを身につけたい」という意欲に満ちた目で、ブラウン管のモニターにかじりついていた。

中でも、僕のインストラクター人生で忘れられない“とんち”のような質問がある。

「先生、『棒』は、どうしたら入力できるのですか?

一瞬、僕の頭は「?」で埋め尽くされた。

「棒…ですか?」。

生徒さんの指差すテキストを覗き込むと、そこには「電話番号:0562-XX-XXXX」の文字。

…!これか!

「ああ、ハイフン(ー)のことですね!キーボードの右上の、ここにありますよ!」

今でこそ笑い話だが、当時の生徒さんたちにとっては、記号ひとつ入力するのも大冒険だったわけだ。果ては明治生まれだというおじいちゃんまで生徒さんにおられ、彼らの真剣な眼差しに触れるたび、僕は「教える」という行為の奥深さと楽しさを痛感していた

25年の時を経て、彼らはどうなったか?
あれから、25年が経った。
あの頃40歳だった生徒さんは、今や65歳。立派な「おじいちゃん・おばあちゃん」世代だ。

僕たちは、つい「高齢者=デジタルが苦手」というレッテルを貼ってしまいがちだ。

しかし、少し考えてみてほしい。あの時、あれほどの熱量でパソコンを学んでいた彼らが、この25年間、デジタルから離れて生活していたと考える方が不自然ではないだろうか

彼らは、僕たちと同じように、あるいは僕たち以上に、この25年間の壮絶なデジタルシフトを最前線で体験してきた世代なのだ。

パソコンを覚え、携帯電話を持ち、スマホに乗り換え、アプリを使いこなす。その一つ一つが、彼らにとっての「レベルアップ」だったはずだ。

令和の祖父母は、孫にとっては最高の遊び相手だ。

そうしてたどり着いたのが、今の「世界線」だ。

「おばあちゃん、この前LINEで送ってくれた旅行の写真、なんか色合いが綺麗だね」
「ああ、あれ?Lightroomでちょっとだけ空の色を明るくしてみたのよ」

「おじいちゃん、またマリオカートで1位じゃん!悔しい!」
「ふっふっふ。あのコースは、ドリフトの後のミニターボのタイミングが重要なんじゃ」

「おばあちゃんのLINEスタンプ、可愛いの多すぎじゃない?」
「あらそう?このキャラクター、気に入っちゃって。シリーズ全部買ったわ」

彼らはもはや「教えてもらう側」ではない。
我々が知らないLINEスタンプを使いこなし、我々が苦戦するゲームのステージを軽々とクリアし、我々が面倒くさがる写真の加工を楽しみながらこなす。

デジタルデバイド(情報格差)

情報へのアクセス格差
インターネットに接続できる環境や、必要な情報にアクセスできるスキルを持つ人と、そうでない人の間に格差が生じること。
知識・スキルの格差
デジタル機器やソフトウェアを使いこなすための知識やスキルを持つ人と、そうでない人の間に格差が生じること。
利用格差
デジタル機器やサービスを利用する機会や、その利用状況に格差が生じること。


デジタルデバイド=【ナベペディア】ワタナベミツテルの頭の片隅の知識辞典より引用

人は、必要であれば、そして何より「楽しければ」、いくらでも新しいことを学び、進化し続けることができる。

かつて「棒」の打ち方を聞いてきたあの生徒さんも、今頃は「ChatGPT?、このRAWデータ、どう現像したらエモくなるかね?」なんて言いながら、MacBookを巧みに操っているかもしれない。

そう考えると、なんだか無性にワクワクしてこないだろうか。

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