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【エッセイ】おじいさんのひきだし。第5話 夏の日中のガッツは朝食から。朝チャーハンと朝ラーメンが重たければ、チャーハンとラー汁で。

2026 8/04
エッセイ おじいさんのひきだし
2026-08-04
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これまでのあらすじ

小学生だった僕の部屋。2階にある学習机のひきだしから、突然現れたのは、オレにそっくりな少年と一匹のネコだった。
「未来がヤバい」
切迫した顔でそう訴えた未来の少年は、なんとネコをその場に置き去りにして、再び未来へとトンズラしてしまったのだ。
そこから始まった、オレの強制ライフチェンジプロジェクト。
しかし、悪いことばかりじゃない。
このネコをきっかけにして、オレは密かに憧れていたこの街のマドンナ・なまてんどうさんにべったりと近づくことに成功したのだ。
そんなバラ色の小学生ライフを満喫していたある日、オレのひきだしがまたもや開いた。
今度は、ネズミだ。
どうやら、遊び相手だったネコを追いかけて、わざわざ未来からやってきたらしい。
「ずっとここ(過去)で暮らしたい」とつぶらな瞳で望むネズミに絆(ほだ)され、オレはやさしく承諾してしまった。
しかし、ウチではネコとネズミ、2匹も同時に飼うことはできない。ピンチに陥ったオレは、すぐさまなまてんどうさんに相談を持ちかけた。
「それなら、ニャーニャ(ネコ)はうちに連れていくわ」
彼女の女神のような提案により、我が家ではチューチュ(ネズミ)を飼うことに決定。

サイドストーリー

それから時が過ぎ、いつしかオレとなまてんどうさん、そしてニャーニャとチューチュは、空き地の土管の前で一緒に軽やかなステップを踏んで踊れるまでに息がピッタリ合っていた。

将来、なまてんどうさんと仲良く暮らすための未来へのポイントは、間違いなく爆上げ状態である。

そんな、小学生時代の甘酸っぱくも不思議な記憶を反芻しながら目覚めた、と夏の今日の朝。

おしながき

夏の日中のガッツは朝食から。朝チャーハンと朝ラーメンが重たければ、チャーハンとラー汁で。

連日の猛暑を通り過ぎて、酷暑。

夏の太陽が本気を出す前に、こっちも本気を出さなきゃいけない。

夏の日中を戦い抜くための「ガッツ」。それはズバリ、朝食から生まれるのだ。

というわけで、朝から中華鍋を振るった。
立ち上るごま油の香り。黄金色に輝くパラパラのチャーハン。完璧だ。
しかし、皿に盛られたこいつを前にして、私の脳内グルメコンピューターがエラーを弾き出した。

「汁気が、足りない」

欲しいのはただの味噌汁じゃない。チャーハンを迎え撃つための、あのジャンクでガツンとくる相棒。そう、ラーメンだ。

チャーハンとラーメン。世に言う「チャーラー」である。

しかし、時刻は朝。いくらガッツが必要とはいえ、炭水化物に炭水化物の全力投球、しかも麺のボリューム感は、ちょっとばかり胃袋への負担がデカすぎる。食べ終わったあとに満腹で動けなくなっては本末転倒だ。

麺は重い。でも、あのスープは飲みたい。

ここで、閃(ひらめ)いた。

「だったら、ラー汁(ラーメンのスープ)だけを作って飲めばいいじゃない!」

マリー・アントワネットもびっくりな発想の転換である。

さっそく、キッチンの調味料を使い作戦開始。作り方は驚くほど簡単だ。

【朝用ラー汁・レシピ】

醤油・・・小さじ2〜大さじ1(気分で調整)
鶏ガラスープの素・・・小さじ1
すりおろしニンニク(省略可)・・・チューブでちょこっと
刻みネギ、白ごま・・・パラパラっと
ごま油・・タラリとひとまわし
コショウ・・・ちょっと強めにバサバサと

これをお椀にまたは、マグカップに放り込み、熱湯(150〜200ml)をジャーッと注いで混ぜるだけ。

湯気とともに立ち上るのは、間違いなく「近所の町中華」の香り。
さあ、舞台は整った。

お箸でチャーハンをすくい、口へ放り込む。
米粒がほどけたところに、すかさず熱々の「ラー汁」を流し込む。

…最高か。

麺なんて1本も入っていないのに、脳は完全に「いま、俺はチャーラーを食っている!」と錯覚している。鶏ガラと醤油の塩味がチャーハンの油をさっぱりと洗い流し、また次のひとくちを要求してくる無限ループ。

麺がないからこそ、胃袋にズンと来すぎることもなく、朝のエネルギーチャージとしては120点のバランスなのだ。

ふう、と息をついて空になった器を置く頃には、額にうっすらと汗。

腹の底から、ムクムクと「ガッツ」が湧き上がってくるのがわかる。

夏の朝の「ラー汁」。

重いのは嫌だけど、ガッツリ中華気分でエンジンをかけたい。そんなワガママな朝にぴったりの特効薬だ。

よし、自家製チャーラー気分でガッツ注入完了。

今日も一日、ドカンと頑張っていこうじゃないか。

今日のおすすめの曲

ELLEGARDEN – Strawberry Margarita

ELLEGARDENは1998年結成の日本を代表する4人組ロックバンド。メンバーは細美武士(Vo/Gt)、生形真一(Gt)、高田雄一(Ba)、高橋宏貴(Dr)です。メロディック・パンクを基調とし、今も絶大な人気を誇ります。

約16年ぶりの2022年作『The End of Yesterday』に収録された「Strawberry Margarita」は、大人のほろ苦く切ない恋情をカクテルに重ねた楽曲。全編英語詞の力強いメロディとキレのあるギターサウンドが特徴です。

MVは、若い男女が衝動的に街を駆け抜けるロードムービー風のドラマ仕立て。時にぶつかり合いながら惹かれ合う2人の姿と、合間に交差する穏やかな老夫婦の姿が対比され、若さゆえの焦燥感や愛の尊さを描き出します。楽曲の持つ「一歩を踏み出す」メッセージとダイナミックな映像美がリンクした、短編映画のような見応えのある作品です。

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