エッセイ『パスタと共に去り行く。』第8話 あなたは、鍋奉行か、灰汁代官か。それとも殿様か味わい侍か?

今年もあと何日で終わるのかな?そうしている間にも刻一刻と。

鍋を司る四つの魂

あなたの食卓にもいる「あるある」武将たち

冬の季節、友人や家族と鍋を囲む時間は、心と体を温める至福のひとときです。しかし、湯気に包まれたその食卓では、秘めたる使命を帯びた四人の「鍋を司る者たち」が必ずや降臨し、熱い戦いを繰り広げます。さあ、あなたの周りにいるのは、そしてあなた自身はどのタイプですか?

鍋奉行(ナベブギョウ):完璧主義者の悲哀


まず一人目は、この権力の頂点に立つ「鍋奉行」です。

    彼の辞書に「適当」という文字はありません。鍋料理は、具材の入れ方、火加減、食べるタイミング、すべてが計算された芸術作品でなければならないのです。

    あるあるですよね、誰かが勝手に豆腐を投入しようものなら、竹刀(しない)を振るう勢いで制止がかかります。「待て!豆腐は白菜の出汁が出てからじゃ!崩れるぞ!」と、まるで鍋が奉行の命そのものであるかのように熱弁します。

    そして奉行の真骨頂は「味見」。腕組みをし、静かに湯気を観察した後、一瞬でコンロのつまみを微調整。お玉でスープを一口飲んだ時の、あの神妙な面持ち。「うむ、まだ白菜の魂が開ききっておらぬな」…いや、ただの白菜ですよね?

    彼にとって、鍋は社交の場ではなく、修行の場なのです。

    灰汁代官(アクダイカン):孤独な清掃人

    鍋奉行の影で、静かに、しかし使命感に燃えているのが「灰汁代官」です。

    他のメンバーが笑い話に興じている間も、彼の視線は常に水面白い汚れ、すなわち「灰汁」がフワッと浮かんできた瞬間、代官はすべてを停止します。話題がどれほど盛り上がっていようと、代官の集中力は灰汁一筋

    まるで宝石を扱うかのように、細心の注意を払って網しゃくしを差し込み、一滴の汁も落とさず、静かにその敵を捕らえます。そして、すくい終えた後の、あの静かな満足感に満ちた表情。代官は知っているのです、この透明なスープこそが、平和の証であることを。

    ただ、誰もその功績を褒めてくれないのが、灰汁代官の悲哀です。「灰汁、取ってくれてありがとう!」と言う人は、ほとんどいませんよね。

    お殿様(オトノサマ):最高の瞬間を待つ貴族

    次に登場するのは、食卓の最上段に鎮座する「お殿様」です。

      お殿様は、自ら動くことを好みません。彼らの仕事は、最高の状態で差し出されるのを待つこと

      奉行が「さあ、この牛肉は今が食べごろ!」と叫ぶまで、箸は持つものの、具材には手を出しません。「奉行、ワシの〇〇(好きな具材)はまだか?」と、優雅に催促する姿は、まさに待つことのプロフェッショナル。

      そして、最高のタイミングで差し出された、煮込み具合が完璧な具材を口に入れたとき、目を細めて頷くあの仕草。「うむ、格別よ」…この一言のために、奉行と代官は働いていると言っても過言ではありません。後片付け?それは家臣の仕事です。

      味わい侍(アジワイザムライ):自由を愛する開拓者

      最後に、最も自由で奔放なのが「味わい侍」です。

        侍はルールに縛られません。奉行が「まだじゃ!」と叫んでいても、侍は自分の食べたい具材を、まるで戦場で獲物を隠すように、鍋の隅の死角にそっと投入します。

        彼らは探求者です。自分の器の中は、もはや調味料の戦場ポン酢ごまだれを混ぜ、さらにラー油を数滴、最後に柚子胡椒でキリッと締める。侍は、他人が知らない最高の「味変」を常に開発しているのです。

        そして、鍋の底に沈んだ、誰も気づいていない最高に煮込まれた具材を、一瞬の隙を見てサッとすくい上げる。その瞬発力自由奔放さこそが、侍の魅力なのです。

        あなたの周りの食卓には、どの「鍋を司る者」が陣取っていますか?

        さて、この鍋を囲む熱き戦場で、あなたはどのキャラクターの役割を担うことが多いですか


        僕は、味わい侍(アジワイザムライ)でした。鍋に専念するのではなく、ひと時の楽しむ人として、参加する感じなんでしょうか。

        お鍋といっても、普段は大きな土鍋で僕は毎回家族が揃(そろ)うイベントとしては、行いません。名古屋に在住の方には、おなじみの味噌煮込みうどんの小さな土鍋で、大根を輪切りにしたものを、ミツカンの鍋つゆで煮ることが多いです。

        つづく

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