子どもの頃は、小学校から帰った夕方にテレビの再放送で『裸の大将放浪記』(山下清(やましたきよし)画伯をモデルにしたドラマ)が放映されていた。
僕の生まれる前から、連続ドラマや映画として『裸の大将』は人気シリーズだった。
ずんぐりむっくりの出で立ちの芦谷雁之助さんが、丸坊主で、白いタンクトップに、赤い傘、それとリュックサックで日本中を放浪しながら、「おむすび」を地域のみなさんにいただきながら、お礼に絵を書いて差し上げたり、それで『山下清画伯じゃね?』みたいな感じで最後はトンズラするというパターンの2時間ドラマ化していたのは日曜の夜21時台にたまにやっていたのは小学生の頃の花王の提供枠の番組「花王名人劇場」。
夕方の30分再放送のドラマシリーズは、僕が生まれる頃のシリーズらしく、古びたカラー放送のドラマを見るたびに不思議と新鮮な感じだった。
ある日観た、神回の話をしよう。
清さんが、街のパチンコ屋さん(昔のハンドルを指で弾くタイプのパチンコ屋さん)の前を通りがっかった時に、パチンコの玉が1玉落ちていて、店内にひょこひょこ入っていって、空いているパチンコ台に拾った1玉を入れて、周りの人のみようみマネで、指先でハンドルを弾いたら、チューリップに入ってしまい、フィーバーして、おつりの玉がジャラジャラ出てきてしまい、わーいわーい、やったやったーという回。
もちろん、お金を払っていないので、パチンコ店の店員さんに摘(つ)まみだされて、交番のおまわりさんにガン詰めの職務質問を受けるという話。
そのインパクト(衝撃)が笑えてしまい、何十年も経った今でも記憶にある『裸の大将放浪記』の神回であった。
この話を友達にしても、「ふーん、知らない」というのだが、僕の創作ではないので覚えている方はいると思う。
つづく